化粧品販売を行う上で、多くの経営者が直面する問いが「ECと店舗、どちらが儲かるのか?」というテーマです。近年はAmazonや楽天、SNSを活用したECの成長が著しい一方で、百貨店や専門店の実店舗も依然として根強い需要を持っています。本記事では、両者の特徴と利益構造を比較し、経営判断のヒントを整理します。


1. EC販売の特徴と収益構造

ECの最大の魅力は、商圏が全国に広がるスケーラビリティです。広告費を投じれば一気に数万人単位にリーチでき、在庫管理や物流を仕組み化すれば24時間売上が立ち続けます。

  • メリット
    • 初期投資が比較的低い(店舗家賃不要)
    • SNSや広告で爆発的な集客が可能
    • 顧客データ(年齢・地域・購買履歴)が蓄積されやすい
  • デメリット
    • 広告費(CPA)が高騰傾向
    • 値引き競争に巻き込まれやすい
    • 顧客がブランド体験をしづらい

特に化粧品は「使ってみたい」「香りや質感を試したい」という欲求が強く、ECのみではリピートの壁があるのも事実です。


2. 店舗販売の特徴と収益構造

店舗の強みはリアル接客と体験提供です。美容部員のカウンセリングやタッチアップ体験は、単価を上げ、リピート顧客をつかむ重要な要素になります。

  • メリット
    • 顧客単価が高くなりやすい(クロスセル・アップセル)
    • 接客で信頼関係が築けるためリピート率が高い
    • 店頭体験によりブランド価値を体感してもらえる
  • デメリット
    • 家賃・人件費・光熱費など固定費が高い
    • 商圏が店舗近隣に限られる
    • 営業時間の制約がある

ただし、長期的なファンづくりという観点では、店舗が果たす役割は非常に大きいといえます。


3. 利益率とLTV(顧客生涯価値)で考える

ECと店舗のどちらが「儲かるか」を単純に比較するのは難しいですが、視点を変えると答えが見えてきます。

  • ECは新規顧客の獲得に強い
    広告→購入→リピートの流れを効率化できれば利益率は向上。
  • 店舗は既存顧客のLTV最大化に強い
    定期的な来店・信頼構築により、同じ顧客から長期にわたり売上を得やすい。

つまり、EC=新規開拓、店舗=リピーター育成という役割分担で考えると経営のバランスが取りやすくなります。


4. これからの勝ち筋:O2O戦略

結論としては「どちらが儲かるか」ではなく、両者をどう組み合わせるかが鍵です。

  • 店舗で体験 → ECでリピート購入
  • ECで知った商品 → 店舗で体験・定期購入
  • LINEやCRMを活用し、顧客データを一元管理

このようにO2O(Online to Offline)の循環をつくることで、ECと店舗の相乗効果が最大化されます。


まとめ

化粧品販売はEC単体・店舗単体では限界があります。

  • ECは「広く新規顧客を獲得する場」
  • 店舗は「深く顧客を育成する場」

両者を組み合わせ、広告コストと固定費をコントロールしながらLTVを最大化することが、これからのビューティビジネスで「儲かる仕組み」を作る最適解です。


👉 経営者の皆様、まずは 自店の強みが「新規」なのか「リピート」なのか を整理し、戦略を見直してみてください。