化粧品専門店は、チェーン系(例:パルファン、アットコスメストアなど)と、街の個人店(昔ながらの地域密着型)に分けられますが、共通の戦略軸は次のとおりです。


1. 「お客様との信頼関係」を軸にしたカウンセリング販売

  • 肌悩みへの共感と解決提案ができるスタッフの存在が最大の武器。
  • カルテ管理や定期フォロー、電話やLINEでのコミュニケーションも強い。
  • 顧客の年齢・肌質・ライフスタイルまで把握し、人生単位での美容サポートを提供。

➡︎ 「あなただから買う」「○○さんに相談したい」という“人”の価値が軸。


2. 地域密着型のコミュニティ形成

  • ショッピングセンター内や駅前などに出店し、地元顧客との接点を広く持つ
  • メイク教室、スキンケア相談会、健康測定などの店内イベントで“地域の美容の拠点”として定着。
  • コミュニティ内でのクチコミが新規客の信頼獲得に繋がる。

➡︎ 「お客様同士が仲良くなる店舗」は長期安定のサイン。


3. メーカーと連携した販促・CRM戦略

  • 資生堂・カネボウ・コーセー・アルビオンなどの専属BAと連携し、店舗独自の販促を展開。
  • ポイントカード・DM・会報誌・誕生日特典など、紙媒体とデジタルの組み合わせによるファン化促進。
  • メーカー主催のセミナーや新商品勉強会を通じ、常に最新の美容情報を顧客に届ける

➡︎ メーカーの支援を活かし、個店でもブランド価値を最大化できる。


4. オリジナル提案や商品構成で差別化

  • ブランドを超えて「肌質別セット」「季節別ラインナップ」などを組み合わせ、自店ならではの提案を行う。
  • 一部ではインナーケア商品、雑貨、健康食品、ドリンクなども展開し、顧客単価UPを狙う。
  • オリジナル美容法やカスタマイズレシピを店頭やSNSで発信。

➡︎ 「ここにしかない」体験・商品価値を作ることが成否を分ける。


◆ 成功事例

以下は、業界で注目された成功事例や現場で評価された店舗戦略です。


✅ 事例①:美スギ(大阪・関西を中心とする専門店チェーン)

  • 老舗の化粧品専門店だが、若年層にも訴求する売場づくりが特長。
  • ブランド横断で「肌別カウンセリング→セット提案」を徹底し、回遊性と信頼感を両立
  • タッチアップを重視し、「メイクして帰れる場所」として地域の若者にも人気。

👉 “専門性 × カジュアルさ”の融合で、新旧の顧客層を獲得。


✅ 事例②:SAKURAYA FOR ME(東京・多摩地区)

  • 京王線・聖蹟桜ヶ丘などに展開する化粧品専門店チェーンです 。
  • ブランド多数(資生堂、コーセー、クレドポー、ALBIONなど)を取り扱い、肌診断、サンプル提供、返品交換など高い顧客サービスを実施
  • YouTubeを活用した情報発信で店舗認知が広がる 。

👉 体験重視の店舗づくり×SNS・店頭の好循環で新しい専門店像を実現。


✅ 事例③:銀座イグジットメルサの「C-BON(シーボン)直営サロン型店舗」

  • カウンセリングとエステを融合した「お手入れ型販売」を採用。
  • フェイシャル体験→肌診断→商品購入という流れで、体験から商品購入に自然につなげる設計
  • 店舗は個室化・高級感を演出し、リピート契約型(定期通い)を促進

👉 高価格帯でも体験価値によって信頼を獲得し、高LTV(生涯顧客価値)を確保


◆ 今後の方向性(まとめ)

戦略テーマ内容
人×デジタルLINE相談やEC連携、YouTube活用などで「顔が見えるオンライン接客」へ
リピートモデルの強化スキンケアプランや定期購入、年間通いプログラムの提案で安定収益化
コスメ+健康の複合提案化粧品+サプリ+インナーケア商品でトータルビューティ提案へ

ご参考:

「お客様が通い続ける理由」は、“その人がいてくれるから”。
化粧品専門店の最大の武器は、店舗そのものより“人”です。
デジタル化が進んでも、人の介在価値を最大化できる業態であることを活かすべきです。


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