メンズ美容は「一部の意識高い男性の趣味」から、「生活者の身だしなみの延長」へ移動しています。
この変化を見誤ると、商品企画・売場・販促のどれもがズレます。逆に言えば、今は“読み違い”が利益に直結するタイミングです。

この記事では、事業者の皆さんが「メンズ美容市場をどう判断するべきか」を、現場目線で整理します。


メンズ美容は一般化したのか?結論:一部は完全に一般化、全体はまだ成長途上

結論から言うと、メンズ美容は「一般化した領域」と「まだ伸びしろの領域」が混在しています。

  • 一般化した:洗顔・化粧水・UV・眉・ヘアケア
  • 伸びしろ:ベースメイク・リップ・ネイル・香水・美容医療

つまり市場は「広く浅く」ではなく、“日常領域だけが先に普及した状態”です。

例えるなら、コンビニコーヒーが普及した一方で、豆から淹れる文化はまだ一部…という構造に近いです。


メンズ美容市場がここまで来た背景(2026の見立てに直結)

一つポイントになるのは、メンズ美容が伸びた理由は「美容意識の向上」だけではないことです。

背景1:清潔感=社会的スキルになった

営業、接客、採用、婚活、SNS。
どの文脈でも「清潔感」が武器になり、逆に不足すると不利になりました。

背景2:男性が買いやすい売場が増えた

ドラッグストア、バラエティショップ、ECで「男性が買っても浮かない」状態が整いました。
市場は、需要よりも“購買障壁”で止まっていた部分が大きいです。

背景3:SNSで情報が先に一般化した

Z世代を中心に、メイク動画やスキンケア情報が先に拡散しました。
これが「知っている人が多い状態」を作り、購入が後追いで伸びています。


メンズ美容の市場判断:重要なのは「男性全体」ではなく「男性の生活シーン」

事業者が陥りがちな失敗は、メンズ美容を「男性全体の平均」で判断することです。

実際には、メンズ美容は次のように分裂しています。

①仕事・対面が多い層(清潔感投資型)

  • UV、皮脂ケア、眉、ニオイ対策が強い
  • 購入理由が「モテたい」より「損したくない」

②若年層(自己表現型)

  • カラーリップ、ベースメイク、香水
  • 価格より“世界観”を買う傾向

③ミドル層(老化対策型)

  • シミ・シワ・薄毛・たるみ
  • 「機能性」「効果実感」が最優先

このように、メンズ美容市場は“年齢”より“生活シーン”で切った方が精度が上がります。


メンズ美容 市場 2026:伸びるのは「買いやすい機能性」と「続けやすい習慣」

2026に向けて、特に伸びやすいのは次の2方向です。

伸びる方向1:機能がわかりやすい領域(迷わない)

  • UV(特にトーンアップではなく日焼け止め)
  • ニオイ・汗
  • 皮脂・毛穴
  • 肌荒れ・敏感

男性は「美容の楽しさ」より、まず“問題解決”から入ります。
この順番を無視して、いきなりフルメイクを勧めると、売れません。

伸びる方向2:続けやすい設計(面倒が勝たない)

  • オールインワン
  • 泡洗顔
  • シート系
  • 1ステップ処方

メンズ美容は、最大の競合が「面倒くさい」です。
ここに勝てる商品・売場が強いです。


事業者がやるべき具体策:売れるメンズ美容は「売り方」で決まる

ここが実務の核心です。
メンズ美容は、商品力以上に「売り方」が売上を左右します。

具体策1:売場は“男性専用”より“家族導線”が強い

男性本人より、家族(特にパートナー)が買うケースはまだ多いです。
「メンズ棚を作る」よりも、スキンケアの隣に“男性も使える”を置く方が動くことがあります。

具体策2:POPは「カッコよくなる」より「損を防ぐ」

  • 「テカリ防止」
  • 「肌荒れ予防」
  • 「第一印象対策」
    この方が刺さります。

美容系の言葉より、ビジネス用語の方が売れることもあります。
これ、現場ではあるあるです。

具体策3:入口は“UV”が最強

最初に買う確率が高いのは、実は日焼け止めです。
理由は簡単で、「やった方がいい」が世の中で合意されているからです。


実践ポイント:メンズ美容を扱うなら、最初に見るべき3つの数字

最後に、事業者が市場判断をする時に見るべきポイントをまとめます。

①客層の年齢分布

若年が多い店は「自己表現型」が動きます。
ミドルが多い店は「老化対策型」が動きます。

②購買チャネル(店頭かECか)

ECは情報量が多いので、ベースメイクなども伸びます。
店頭はまず機能性・時短が強いです。

③購入理由が“悩み解決”か“憧れ”か

ここを見誤ると、販促が外れます。


まとめ:メンズ美容は「一般化した部分」から攻めるのが正解

メンズ美容はどこまで一般化したのか。
答えは、「身だしなみ領域は一般化したが、自己表現領域はまだ成長途上」です。

だからこそ事業者は、

  • まずは日常領域(洗顔・化粧水・UV・眉)で確実に売上を作る
  • 次に伸びしろ領域(ベースメイク・香水・リップ)を育てる

この順番が、もっとも堅い戦略になります。

私としては、2026年は「メンズ美容が“文化”になる手前」の年になると見ています。
今のうちに売場・商品・提案の型を作った企業が、次の波で強くなると考えています。