■ メンズ美容が「当たり前」になる時代へ
かつては一部の美容意識が高い男性のものだったスキンケアやメイクが、いまや一般層にまで浸透しています。
富士経済の調査によると、メンズコスメ市場は2023年に約1500億円を突破し、2030年には2000億円規模に拡大すると予測されています。背景には「清潔感」や「自己管理」が評価される社会的風潮のほか、SNSでの発信や芸能人・K-POPアイドルの影響も大きく、若年層を中心に市場は急速に拡大しています。
■ 拡大のキーワードは「ライトユーザー」と「Z世代」

現在の成長を牽引しているのは、日常的に美容を楽しむ“ライトユーザー層”。
特にZ世代の男性は「清潔感=マナー」と捉え、洗顔や化粧水、BBクリームなどのベーシックケアを自然に取り入れています。
また、オンライン販売とドラッグストアのメンズ専用棚の拡大も、購買ハードルを下げる大きな要因となっています。
企業にとっては、
- 「男性初心者でも入りやすいブランド設計」
- 「ジェンダーニュートラルなパッケージ」
- 「SNS発信での共感設計」
が成功の鍵を握ります。
■ 注目されるカテゴリーと商品動向

- スキンケア部門
- メンズ専用化粧水・オールインワンジェルが主力。
- 資生堂「UNO」、ロート製薬「OXY」、花王「NIVEA MEN」などの定番に加え、韓国発ブランド「TROIAREUKE」「INNISFREE for MEN」なども人気。
- 肌荒れや毛穴ケアなど、“肌トラブル解決型”訴求が支持されています。
- ベースメイク・グルーミング部門
- BBクリームやコンシーラーで肌トーンを整える“ナチュラルメイク男子”が増加。
- ファンケル「メンズBBクリーム」、オルビス「ミスターシリーズ」などが代表格。
- 加えて、ヘアスタイリング剤やフレグランスとの“トータルビューティ”化が進行。
- 美容家電・サロンケア部門
- ヒゲ脱毛、フェイシャルスチーマー、スカルプケア家電が新定番化。
- パナソニックやYA-MANがメンズ専用ラインを強化しており、「自宅での身だしなみケア」需要が拡大しています。
■ 経営者にとってのチャンス

メンズ美容市場の成長は、「既存顧客+新市場」の両輪拡大を実現するチャンスです。
既存の女性中心ビジネスでも、
- 男性向け商品の導入
- カップル利用の促進
- メンズ美容体験イベントの開催
など、来店動機を広げる仕組みをつくることで売上アップが期待できます。
さらに、“男女問わず自分らしく美を楽しむ社会”という流れは、企業ブランディングにも直結。
早期に参入することで、市場ポジションを確立できるタイミングです。
■ まとめ|メンズ市場を「特別扱い」せず「自然な流れ」として
メンズ美容は、もはや特別なカテゴリではなく「生活習慣の一部」。
企業がこの流れを柔軟に取り入れ、男女共通の“セルフケア文化”を発信することが、次の成長ステージを切り開く鍵となります。
いまこそ「新しい顧客層」を見据えた戦略転換のときです。

