― 共感がブランドを育てる ―

ヒット商品を生み出すブランドには、必ず「ストーリー」があります。
機能や価格だけでは差がつかない時代、顧客の“心”を動かすのは、商品の背景にある人の想いと物語です。


■ なぜストーリーが必要なのか

消費者は「何を買うか」ではなく「誰から買うか」「どんな想いで作られたか」に惹かれています。
たとえばコスメブランドなら、

  • 開発者がどんな肌悩みを解決したかったのか
  • 原料にどんなこだわりがあるのか
  • どんな未来を実現したいのか
    このような背景を知ることで、商品は「単なるモノ」から「自分の価値観を表すシンボル」に変わります。

■ 共感を呼ぶストーリーの3構成

  1. 原点(Why):なぜこの商品を作ろうと思ったのか
     → 例:「敏感肌で悩む妹のために、低刺激な化粧水を開発した」
  2. 挑戦(How):どのように作り上げたのか
     → 例:「北海道産の白樺樹液を使い、2年かけて安定処方を完成」
  3. 未来(What for):この商品がどんな未来をつくるのか
     → 例:「肌に悩む人が自信を取り戻せる世界にしたい」

この3つがそろうと、「共感→信頼→購入」という心理的な流れが自然に生まれます。


■ 物語を“語る”場所を設計する

ストーリーを語る場は、

  • ブランドサイトのトップページ
  • 商品ページの導入文
  • SNSやリール動画のナレーション
  • POPやパンフレットの「開発者コメント」
    と、あらゆる接点に存在します。

重要なのは、どこで顧客が最初に出会っても“想いが伝わる一貫性”を保つこと。
Web・SNS・店頭のすべてで、ブランドの声を一つに統一しましょう。


■ ヒット商品に学ぶストーリー戦略

  • 「shiro」:創業地・北海道の素材を軸に“自然と人の調和”を語る。
  • 「KANEBO」:2020年のリブランディングで“希望を発信するブランド”をテーマに再構築。
  • 「N organic」:働く女性のライフスタイルを物語にし、共感を呼ぶ。

いずれも「自分たちの信念を言語化」し、それを体験やデザインに落とし込んでいる点が共通しています。


■ ストーリー設計のチェックリスト

  • 「なぜこの商品を作ったのか」を言葉にできる
  • 開発者やブランドの想いが商品説明に反映されている
  • 写真・動画・文章のトーンが統一されている
  • 顧客が自分ごととして感じられる“共感のフレーズ”がある

■ まとめ

ヒットの鍵は、「機能」よりも「共感」。
ストーリーはブランドの魂であり、消費者との最初の接点をつくる“心のデザイン”です。

商品企画担当者に求められるのは、
スペックを語ることではなく、「なぜこの商品を世に出したのか」を語る力。
その物語こそが、次のヒットを生み出す出発点になります。