百貨店は「ラグジュアリー&信頼の象徴」として、次の3つの柱を軸に戦略を立てています。
1. ブランドの“格”を守るハイエンド戦略

- シャネル、ディオール、クレ・ド・ポー ボーテ、SK-Ⅱなど、高価格帯の外資・国内ラグジュアリーブランドを集積。
- ブランドごとの世界観を重視したショップインショップ型(店舗内店舗)で展開。
- ブランドイメージを損なわない顧客対応(制服、身だしなみ、接客マナー)を徹底。
➡︎ 百貨店自体が“高級感”を維持するため、入店ブランドや什器、陳列にも厳しい審査があります。
2. パーソナル接客によるファン化・定着戦略

- 資生堂、コーセー、カネボウなどの「専属BA(ビューティアドバイザー)」が常駐。
- 肌測定・カウンセリング・タッチアップなど、対面ならではの高付加価値接客を実施。
- お客様ごとにカルテを作成し、CRM(顧客管理)に基づいた再来店施策を行う。
➡︎ 「○○さんに会いに行く」という信頼関係が、安定売上につながります。
3. ラグジュアリー×体験のイベント・プロモーション戦略

- 限定品・先行発売・予約販売など、百貨店限定商品や特典を武器に集客。
- 「○○フェア」「美容セミナー」「メイクアップイベント」など体験型プロモーションで購買意欲を刺激。
- SNSやLINE、アプリでのクローズドキャンペーンも積極的に活用。
➡︎ 「この場に来ないと体験できない価値」を提供し、ECとの差別化を図っています。
◆ 成功事例
✅ 事例①:伊勢丹新宿本店「ビューティアポセカリー(Beauty Apothecary)」
- 2011年に本館地下2階にオープン。
- “美と健康の融合”をテーマに、自然派・オーガニック・インナービューティ(食品含む)まで扱う新ゾーンを展開。
- 一部セレクトブランドやD2Cブランドも採用し、感度の高い30〜40代女性に支持された。
👉 新しいカテゴリーを百貨店内に持ち込むことで、若年層〜中間層への入口として成功。
✅ 事例②:阪急うめだ本店「HANKYU BEAUTY」
- 地下1階に国内最大級のコスメ売場を展開。
- ブランド数は100を超え、ラグジュアリーからトレンドまでを網羅。
- インフルエンサーや人気ブランドとのコラボポップアップや、「ビューティスタジオ」などの体験ブースが人気。
👉 百貨店でありながらも、「今っぽい美の発信地」として若年層の取り込みに成功。
✅ 事例③:高島屋「タカシマヤビューティアプリ」
- 来店履歴、購入履歴、スキンケアデータ、イベント情報を一元管理できる顧客アプリを導入。
- アプリ経由の予約・クーポン・事前決済で、オンラインとのシームレス連携を促進。
- 百貨店としては後発ながら、デジタルCRM強化で顧客満足度向上。
👉 「デジタル×ハイタッチ」を両立させた、次世代型百貨店の取り組み。
◆ 百貨店化粧品売場の今後の方向性(まとめ)
戦略テーマ | 内容 |
---|---|
オムニチャネル化 | 実店舗+EC+アプリ連携で、時間・場所に縛られない購買体験を提供 |
若年層の取り込み | SNS・体験型イベント・セレクトブランドなどで“百貨店離れ”を食い止める |
サステナブル対応 | 環境配慮ブランドの導入・リフィル対応などでESGニーズに応える |
cosme beauty businessをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。
コメントを残す