■ 中古市場は「若年層中心のトレンド」から「新常識」へ

ここ数年、国内の中古市場は右肩上がり。リユース業界全体では約3兆円規模に達し、ファッションや家電だけでなく、コスメや美容機器の二次流通が急速に注目を集めています。
背景には「もったいない精神」に加え、SDGs意識の高まりと、Z世代の合理的な消費行動があります。新品にこだわらず、状態やコスパで価値を判断する流れが、コスメ領域にも広がっています。

■ 美容リユース市場の動向

特に人気が高いのが、

  • 美容家電(ドライヤー・美顔器・脱毛器など)
  • 未使用・開封済みコスメ(フリマアプリなどで流通)
  • サロン機器・備品のBtoBリユース

一方で、衛生面や薬機法上の課題も多く、個人間取引ではグレーな領域も残されています。そこで注目されるのが、「企業主導の安全な美容リユースプラットフォーム」です。

■ 安心・安全なリユースの仕組みづくり

今後は、

  • メーカー・小売が公式で中古買取・再販を行う
  • 検品・消毒・成分期限チェックなどの認証システムを導入
  • 環境負荷削減の可視化(CO₂削減量・再利用率など)
    が進むことで、リユースが「サステナブルブランド戦略」の一部に組み込まれる可能性があります。

たとえば、美容家電メーカーが「リファービッシュ品」として再販するモデルや、サロン用機器の循環システムを構築するなど、業界横断的な取り組みが始まりつつあります。

■ ブランド価値向上へのチャンス

リユースビジネスは、単なる「安く売る」モデルではなく、
「資源を活かし、美の価値を循環させる」ことにより、
ブランドの社会的評価を高める戦略にもなります。

  • 環境配慮型ブランドとしての好感度アップ
  • 若年層の共感獲得(サステナブル・エシカル志向)
  • 新規接点の創出(初めてそのブランドを試す入口として)

特に、初めてのブランド体験を中古から始めた消費者が、
その後に新品を購入する「ファネル形成」も期待できます。

■ マーケターが注目すべきポイント

  1. 中古を“入口”としたブランド体験設計
     → リユース購入者を新品顧客へ育成するCRM戦略。
  2. SDGs訴求を組み込んだキャンペーン設計
     → 「循環型ビューティ」や「リユース×寄付」などのストーリー化。
  3. プラットフォーム連携・データ活用
     → リユース流通データから顧客の使用傾向を分析し、開発や販売計画に反映。

■ まとめ:美のサステナビリティが次の競争軸に

美容リユース市場はまだ発展途上ながら、「サステナブル×信頼性×ブランド体験」を掛け合わせた新しい価値創造の舞台です。
マーケティング担当者にとっては、「中古=安売り」ではなく、循環によるファン形成の発想が求められる時代となっています。