■セブンイレブンの立地戦略は「生活動線の掌握」

セブンイレブンが40年以上にわたって成長を続けてきた理由の一つが、徹底した立地戦略にあります。
同社は「人の動く場所に出店する」というシンプルながらも強力なルールを持ち、通勤・通学・帰宅・買い物・住宅エリアなど、人々の「日常動線」を徹底的に分析して出店を重ねてきました。

人口データだけでなく、交通量・視認性・駐車場動線・競合店舗の位置関係までをマッピングし、「人が最も自然に立ち寄る場所」に店を構える。この“生活動線の掌握”が、セブンの出店精度を支えています。

■ドラッグストアの化粧品販売に応用できる3つの視点

セブンイレブンの戦略は、ドラッグストアのコスメ販売にもそのまま応用できます。特に注目すべきは以下の3つの視点です。

  1. 時間帯別の購買動線を読む
     セブンは朝・昼・夜で商品構成を変え、各時間帯に最も売れるアイテムを前面に配置します。
     ドラッグストアでも、朝はUVケア・夜はスキンケア・休日はメイクアップというように、時間帯別にコスメ棚を設計することで販売効率が上がります。
  2. 「ついで買い」導線の設計
     セブンの棚構成は「目的買い+ついで買い」の設計で成り立っています。
     ドラッグストアでも、レジ横や通路沿いにミニサイズ・限定品・人気コスメを配置することで、客単価を自然にアップさせることが可能です。
  3. マイクロマーケット思考
     セブンは全国一律ではなく、地域の生活特性に合わせて商品構成を調整しています。
     ドラッグストアも同様に、「郊外型」「駅前型」「住宅地型」などの立地特性に応じてコスメの主力ラインを変えることで、ロスを抑えつつ売上を最大化できます。

■「立地=販促設計」の時代へ

かつては立地は“出店場所”の話でしたが、現在は販促・導線・在庫配置すべてが立地戦略と一体化しています。
SNSやECとの連動を考えると、店頭は“最終接点”ではなく“体験の入口”へと変化しています。
たとえば、店頭POPでInstagram投稿を促す、店舗限定のサンプル配布でECサイトへの流入を誘導するなど、リアルとデジタルをつなぐ導線づくりが重要です。

■まとめ:成功のカギは「人の流れを読む力」

セブンイレブンが立地で成功したのは、データよりも「人の動き」や「生活リズム」を重視したからです。
ドラッグストアのコスメ販売でも同じ。
売場の位置、棚の高さ、通路の向き、時間帯別の販促、地域特性に応じたラインナップ。
これらを「立地戦略」として一体で考えることで、コスメ売場の生産性は劇的に変わります

店舗バイヤーこそ、「出店」だけでなく「売場の立地戦略家」であることが求められています。
セブンの成功哲学を“化粧品売場の最前線”で活かすことが、これからのドラッグストアの差別化の鍵になるでしょう。