■ ECで売れる化粧品に共通する「設計思想」

コスメEC市場は年々拡大を続けていますが、「ECで売れる商品」と「店頭で売れる商品」には、明確な違いがあります。
店頭では「タッチアップ」「接客」「ブランド体験」が購買の決め手になりますが、ECでは“画像・レビュー・比較”で購入が決まる構造です。
つまり、ECに強い商品設計とは「情報設計された商品」です。

具体的には、以下の3つの要素が鍵になります。

  1. ビジュアルで訴求できるテクスチャー・色設計
     光の反射や塗布後のツヤ感・マット感など、スマホ画面でも違いが伝わること。
     例:RMKのリクイドファンデーションは、動画で“つるん”とした質感を表現することでEC販売を伸ばしました。
  2. ストーリーで価値を伝える機能設計
     ただ“保湿”と書くのではなく、「寝不足肌をリセット」「メイク崩れ防止×スキンケア効果」など、生活文脈に落とし込んだメッセージが重要。
     ユーザーが自分ごと化できる「使用シーン」や「比較価値」を言語化します。
  3. 口コミ・UGCを前提にしたネーミング設計
     SNSで共有されやすい“言葉”があるかどうか。
     例:「毛穴撫子」「塗るあぶらとり紙」「恋するクッションファンデ」など、話題化を狙った設計がECでの拡散を生みます。

■ 成功事例①:&be「UVミルク」

インフルエンサー発のブランドとして、動画やSNSでの拡散を前提に商品設計。

  • 白浮きしない×高保湿という明快な機能訴求
  • 男女共用・時短・トーンアップといった“使う理由”を明確化
  • 容器デザインもシンプルで男女が持ちやすいミニマル設計

結果、店頭よりもECで先行して売上を伸ばし、口コミが販売の主導力となりました。


■ 成功事例②:オルビス「クリアフルシリーズ」

ニキビケアの“科学的根拠”と“やさしさ”を両立した構成。

  • 成分のエビデンスを図解で紹介
  • 比較表や使用感レビューをECページ上で完結
  • 「7日間トライアルセット」で初回購入ハードルを低減

このようにEC上で“納得感”を完結できる商品体験設計がリピート率を高めました。


■ 成功事例③:VT COSMETICS「シカシリーズ」

韓国ブランドの代表例。

  • シンプルなグリーンパッケージでシリーズ認知を確立
  • SNS動画で“鎮静効果”を視覚化
  • 成分(CICA)×効果(肌荒れケア)をワードで記憶させる戦略

結果、店頭展開前にオンラインでバズを起こし、日本市場でのブランド基盤を構築しました。


■ まとめ:ECヒットを狙う商品開発の3ステップ

  1. 画面越しでも伝わる“体験設計”を意識する
     → テクスチャー・色味・サイズ・使い方を動画で可視化
  2. レビュー・口コミを商品設計に取り込む
     → ユーザーが語りたくなるポイントをネーミングに反映
  3. 初回体験を設計する
     → トライアルセット・ミニサイズ・サブスク型でリピート導線を作る

ECでは「店頭で伝える体験」をデジタル上で再現する力が問われます。
これからの開発は、“使いやすさ”より“伝わりやすさ”を意識した設計が成功の鍵になるでしょう。