■ 家電業界の推移:Made in Japan神話の終焉

1980〜1990年代、日本の家電は「高性能・高品質」の代名詞でした。テレビ・冷蔵庫・オーディオ機器など、世界中で「日本製=信頼の証」として高く評価され、多くの市場で主導権を握っていました。

しかし2000年代以降、コスト競争の激化と製造拠点の海外移転が進み、中国・韓国・台湾メーカーの台頭により構図が変化。特に中国は、生産量だけでなく技術・デザイン・価格のバランスで進化し、現在では日本の家電量販店にも多くの中国製が並びます。

「日本製でなければ」という消費者の価値観は、過去のものになりつつあります。


■ 化粧品業界の推移:Made in JapanからK・Cコスメ時代へ

化粧品業界もかつては家電と同様、日本製への信頼が絶大でした。特に2000〜2020年頃までは、「日本製コスメ=安全・高機能・繊細」という印象がアジアを中心に広がり、多くの訪日観光客がコスメを“爆買い”していました。

しかし、2020年代に入ると状況は一変。韓国はスピード感ある商品開発とSNS映えするデザイン・マーケティング戦略で若年層を中心に支持を獲得。さらに2023年頃からは、中国のテクノロジー融合・高級感・コスパの高さが評価され、勢力を拡大しています。

今や、百貨店やECモールにはK-Beauty、C-Beautyが並び、日本のコスメと同列で比較される時代に突入しています。


■ 今後の日本製化粧品:品質だけでは選ばれない時代へ

これからの日本製化粧品は、「高品質」だけでは生き残れません。

グローバル市場では、スピード・発信力・ブランド体験・価格の納得感が求められています。これは韓国・中国コスメがすでに実行している戦略です。
日本ブランドが今後勝ち残るためには、「日本製だから安心」という過去の武器ではなく、「なぜそのブランドなのか?」をしっかり言語化・可視化して届ける必要があります。

今、日本の化粧品ビジネスは大きな転換点を迎えています。
モノからコトへ。製品から体験へ。
家電と同じ道を辿るのか、それとも独自の進化を遂げるのか——選択のときは、今です。


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